大雪渓 (だいせっけい)

長野県松本市の北約20キロ、JR穂高駅の近く、安曇野北アルプスを目の前にした、水と空気の清澄なところに蔵はあります。 初めて訪問した時は建物のお粗末さに驚かされました。想像と違って軽量鉄骨スレート葺き、ロマンなどはかけらもなしという感じでした。大雪渓の蔵の外見のお粗末さにはわけがあります。数十年前、造りに入る直前に火災で蔵を焼失、わずか2ケ月あまりで現在の蔵を建設したそうです。県内の酒蔵さんたちが大勢見学見え「人ごとではありません、自分のところで同じ事が起こったときの参考に見学に来ました」と熱心に建築の様子を勉強されたそうです。前述のような建物になったのも仕方のないことでした。 現社長はなかなか信念のある方で、何度かあった地酒ブームにもまったく動かず 「東京の人には向かんと思いますよ、土地の人に喜ばれる酒をと思っていますし、都会の人に合わせるつもりはありません」と伝統的な信州のお酒を造り続けています。94%が地元消費ですが造りの規模は4300石、地元にしっかりと根を下ろした蔵です。 ひさびさに平成14年12月に訪問しました。松本方面から大町に向かう国道沿いに蔵はあります。バス停は「酒屋前」。蔵の歴史を感じさせます。少し手前に「池田町美術館」などがあります。蔵の正面入り口は資材置き場でその左奥に造りの現場があります。右側は旧宅で先代まではそこにお住まいでした。蔵は入るとすぐに洗米と浸漬タンク、そこからベルトコンベアーで甑に米が運ばれ、甑(こしき=せいろ)に入れられ、蒸気で蒸され、チェーンブロックでつり下げられ放冷機にのせられ、そこから酒母室、麹室、もろみタンクへとはこばれます。階段を上ったところに酒母室、その奥に「もろみタンク(仕込み桶)が17本、すべてサーマル(冷却タンク)3トン弱タンク、吟醸用もサーマルタンクが6本設置されています。麹造りはハクヨーの5段薄盛り式でコンピューター制御となっていました。瓶詰めの設備もかなり自動化が進んでいましたし、洗瓶機もかなり大型のものが設置されていて好調な売れ行きを感じさせました。精米は蔵から30分ほど離れた黒部ダムにあと16キロのところにある「長野県酒造組合搗精米所」で行われていましたが、高性能の精米機が30基も設置されていました。とても一企業で買えるような器械設備ではありません。ここでは長野県の半数以上の酒蔵、約100軒のお米を精米していました。大雪渓もこの精米所を利用していますが、昔の二級でも59%精米とかなりの高度精米です。長野のお酒としては重たさが少ないと思っていましたが、こんな高度精米がその理由だったのかも知れません。

 大雪渓酒造(株) 
    長野県北安曇郡 池田町会染   

 蔵元:薄井 敦行氏                           

酒造顧問:細野 登氏 (小谷杜氏)

21BYより長瀬護杜氏の造り