豊の秋 (とよのあき)

   [土地から90キロ以上離れると酒の味が変わってしまう]というお話しでしたが、幸い神田和泉屋までなんと夜行便で16時間という短さ、松江での味がそのまま到着しました。  大吟醸酒ともに管理が比較的むつかしく、このお酒の管理方法をつかむのに、神田和泉屋では約1年半もかかってしまったほど、年間を通じての起伏の大きいお酒ですが、他のお酒に無い独特で軽快な酸があります。 大吟醸酒はとくにヨ−ロッパの人たちに評判が良く、ワインの酸に近いものがあるせいなのかも知れません。第一線に立つ若社長は、江戸時代に造られていた灰入酒[地伝酒]の復活にチャレンジしたり、熱心な研究を続けておられます。ご自宅兼地元の方を対象にしたは松江駅から歩くことができるくらいに近い賑やかな東本町にあります。斜め前にワシントンホテルそ店舗の先は繁華街で宍道湖に続く川のほとりの辺りは昔からの有名な料理屋さんが軒を並べています。その先の右手には松江城、左手には宍道湖がまんまんと水をたたえています。松平不昧公の味覚は菓子屋お茶屋そして酒を高いレベルのものとし、今でも宍道湖の湖畔では漁師さんが集まるとむしろを広げて「抹茶」が始まると言われています。米田酒造のご自宅にも立派な庭と2棟の茶室「末次亭(元の町名に由来)」「豊秋庵」が今も健在です。近くには松江城そして武家屋敷が今も数多く残っています。これらの家並みを楽しむ「舟巡り」も行われ運河となっている川を屋形船が回遊し、松江城の堀を回って観光客を楽しませています。しかし、良いことばかりではありません。木造の古い家屋が保存された分、シロアリ退治の薬が大量に撒かれ、酒蔵にとっては井戸が使えなくなったという事態が起こりました。保健所の検査では無害となっていますが、蔵独自の分析で有害のおそれありと判断し、豊の秋では毎日2度、遠く山の麓まで蔵で使うすべての水をタンクローリーで運んでいます。造りの現場は専務の米田則雄氏と仙田杜氏。蔵人たちのちーむワークも良く、それに加えて蔵元の労働軽減のためのさまざまな工夫が随所に見られます。大吟醸以外のお酒造りに使われる麹作りのシステムも三菱農機と共同で開発したロボット「杜氏さん」も全国各地の蔵で採用されています。「もろみ(発酵)タンク」もとても明るい目で確かめやすい環境が用意されています。

 米田酒造(株)  島根県松江市 東本町



蔵元:米田 則雄 氏



杜氏 上濱 智信 氏 (出雲杜氏)