店主からのご挨拶

この度は、神田和泉屋にご関心をおもちいただきありがとうございます。 神田和泉屋は、取り扱い商品の範囲も狭く、すべての方にご満足をいただける店ではございません。ぜひ皆さまのご理解とご協力をいただけたらありがたく存じます。 神田和泉屋は、主に日本酒、それも「地酒」と呼ばれる日本酒を扱う小売店です。数度訪れた地酒ブームの結果、さまざまなタイプのものが市場に出てきていますが、私どもの好みのせいか、ほんの一部分だけ、それも例えば地酒の種類が100センチの幅だけあるとすれば、その内の15〜20センチくらいの幅の中に位置する、ごく限られたお酒だけを扱わさせていただいております。
そのために、神田和泉屋の品揃えに、タイプやあるいは地域的な好き嫌いを感じられるかも知れませんが、地域にはなんらこだわりません。また純米酒、本醸造酒、糖添加酒ということにもこだわっていません。農産物加工品のワイン(ぶどう酒)とは違う、糖分も酸も人の力で計画通りに作り上げる、たとえて言えば料理作りのような、造り手の感性や哲学の違いや深さがお酒の個性を作り出す世界に例を見ないあらゆる面で高度なお酒です。当店の品揃えの基準は、でき上がったお酒をいじくり回さない、またそのように人為的な加工を必要としないお酒ということが基本です。
その結果でしょうか、現在は9号酵母や7号酵母などしっかりした酸を出す酵母菌を使用して造られたお酒がメインとなっています。

天と地の恵みと 温かい人の心で 醸し出される 本当の酒

これが、神田和泉屋のもっている「本当のお酒」のイメージです。本当のお酒は一升瓶にアルコールではなく、造る人の心が詰っているものだと感じられるからです。お酒は技術だけでなく、造る人の人柄そのものです。瓶の向こうに、すばらしい人の存在が感じられるお酒、こんなお酒だけを扱わさせていただきたいと思っています。神田和泉屋が食べさせていただくからには、この世界で何か仕事をしなければならないとは思うのですが、今はただ、わが娘のように、大事にだいじに育てられたお酒を、飲むにふさわしい人、ほんとうに望まれるお婿さんが現れるまで、病気をさせないように、風邪をひかせないように、大事にお預かりすることだけを心がけています。将来、仲人としての役割が、きちんとできることが、そして「売り手も人」と言われることが目標です。ものを造り出せない流通の世界からの願望でもあります。

平成27年3月27日  神田和泉屋 店舗販売閉鎖
      80年に亘るご愛顧に感謝申し上げます。

           「閉店の理由」
店主夫婦が先代から経営を引き継いで2015年3月末でちょうど50年となります。その間、スコッチウイスキー、外国ビールにも熱中、またドイツの有機農法栽培ブドウの辛口ワインなどの輸入販売などもしましたが、最近では30年ほど前から取り組んでいた「日本酒」に特化、今日に至っています。 しかし残念ながら、跡取りの息子ふたりも、長男は地下鉄土木技師、次男は農芸化学の准教授と、それぞれの道を歩んでいます。
世間によくある後継者問題と店主の老齢化が閉店の理由です。


         「今後のお買いもの」
「神田和泉屋のお酒でなければ」と言っていただいているお客様へのご迷惑をすこしでもなくすために ファックスとインターネットによる受注はしばらく続けます。そのための新しい「受注ルール」を2月より発表実施いたします。詳しくは「受注の流れ」をご覧ください。商品についてのご質問、ご相談は、メールにてお受けいたします。また営業日の正午から2時まで電話にても受けたまわります。

           「旧小売店舗の今後のこと」
店舗であった一階は、二階の直営飲食店「神田和泉屋乃坐」の一部となり、気軽に神田和泉屋のお酒が楽しめる立ち呑み居酒屋「神田和泉屋の酒庫」となります。

同時に27年間に2000名に入学いただいたお酒の学校「神田和泉屋学園」も閉校とすることにしました。
また在校生、卒業生に向けて272号まで発行した「神田和泉屋学園たより」の「お酒の話」が学園同窓会によって夏前に出版されることになりました。気恥ずかしいことですが、これも区切りの儀式かと思っています。

              酒庫 神田和泉屋   店主 横田 達之
                          昭和15年 2月15日 神田生れ