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いにしえの灘のうま酒君により
はや太平洋にうつり来しはや
と、お酒の神様といわれる坂口謹一郎先生が、歌を詠まれたほどの美酒(昔の灘の造りに近い)を生み出しているお蔵です。高温糖化山廃という独特な仕込みを行ない、しっかりした酸のあるお酒を造っています。
昔は吟醸酒も造っておられましたが、当時としては味の濃い吟醸酒であったために評価されませんでした。今でこそこのタイプの吟醸酒が評価されていますが、以前はいわゆる新潟タイプに代表される味も色もない、水のように淡麗な吟醸酒でなければなりませんでした。木戸泉ではそのような吟醸酒を未熟なお酒とし、吟醸酒造りを捨てて独自の古酒の世界を築かれました。
今の杜氏の秋葉さんは技師として入社、前杜氏の永井さんとともに長年に渡り木戸泉の酒造りに携わってこられ、永井杜氏の高齢化に伴い現在杜氏を勤めておられます。木戸泉は約1000石と大きな生産規模ではありませんが、特殊な酒造りのために特に麹作りに力を注ぎ2セットある麹室を交互に使うなど、さまざまな工夫を必要とし、小さい蔵でありながら技師を必要とする蔵なのです。現在は東京農業大学を出た蔵元息子さんの庄司勇人さんが分析などを担当しています。
外房線「大原駅」のホームに立つと駅舎越しにNTTの鉄塔が近くに見えます。その斜め前が蔵です。もともとは村のはずれにあった大木戸(夜間の通行を禁じるため)のそばで良い水に巡り会ったことから酒名が産まれたくらいですから、本当の村はずれだったのでしょうが、今は町の中心が海側から鉄道の駅に移ったために町の中心となっています。通りの反対側に精米所、蔵の入り口には巨大な杉玉(酒林)があります。正面の煙突に「木戸泉」の文字が見えます。右側に事務所と蔵人休憩室、蔵の中に入ると右側に貯蔵タンク、左側に瓶詰、火入れなどの設備があります。さらに木戸を開けて中に進むと搾り機のヤブタ、右側に発酵(もろみ)タンクがたくさん並んでいます。内部に柱が一本もない巨大な空間です。さらにその先に酒母室、麹室、洗米機や甑などが並んでいます。表には干場があって酒造りの道具が日光消毒されています。さらに奥にはご自宅と旧宅があります。旧宅はお酒の神様と呼ばれた坂口謹一郎先生がたびたび訪れ、蔵元と酒談義に花を咲かせた建物です。
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蔵元
: 荘司 文雄氏
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杜氏: 秋場 雄豪氏
(東京農大)
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